風来坊となるヒーローがやってくる ウルトラマンオーブ 第1話「夕陽の風来坊」

 ウルトラマンオーブの感想、はじめます!
 2016年の7月9日に放送が始まって、7月2日には直前スペシャルが放送された。ちなみにこちらの直前スペシャルでは序盤の内容を上手くまとめて、その中でオーブのことやオーブに出てくる怪獣のことを紹介していた。
 ウルトラマンゼロが登場してから2年後に放送されたウルトラマン列伝の中で放送された『ギンガ』、『ギンガS』、『エックス』とは異なって、この『ウルトラマンオーブ』からはまた一つの独立した番組として放送されるようになったのは何だか感慨深くなる。

 放送日 2016年 7月9日

 脚本 中野貴雄

 監督 田口清隆

戦いの果てに失った存在

 悲しげなBGMと共に、光り輝く巨人が強大な敵と戦っている。敵は何とあの宇宙恐竜ゼットンで、ウルトラマンは追い詰められるという衝撃的なシーンから始まった。初代ウルトラマンを倒した強敵として有名なゼットンがシリーズの冒頭から登場するのは、とても豪華と言える。
 今作はウルトラマン誕生50周年を記念するヒーローなので、やはり初代ウルトラマンと因縁が深い怪獣が登場したのか。ちなみにこの戦いの詳細はウルトラマンオーブの超全集に載っていて、そこではオーブの過去も明かされている。
 ゼットンとウルトラマンの戦いを見守る少女を救う為、やむを得ずにウルトラマンは必殺の一撃を放ってマガゼットンを撃破するけど、その戦いによって森は焼け野原となってしまう……その真ん中に立つ青年は、一人寂しく慟哭した……

平和な街に現れた一人の男

 街の平穏を脅かすかのように竜巻群が発生して、壊滅的な被害が起きてしまう……ウルトラシリーズではお約束とも呼べる光景だけど、冒頭から立て続けに被害が起こるのも珍しいかもしれない。
 竜巻の中心にいる鳥の存在に辿り着く為に、SNSを利用しているのは現代の流行と見事に合わせている。実際、今の時代だったら異常気象や心霊現象が起きたりしたらインターネットで拡散されかねないし。
 ナオミは鳥の存在を疑うけど、シンは異様なまでに優れたコンピューターで竜巻の場所を割り出している。当人曰く、小学校時代でカオス理論の高次元定理を発見したらしい。ちなみにカオス理論とは予測不可能な現象を意味しているらしいけど……難しすぎてよくわからない。理科も勉強しなければ。

 トラックの冷凍庫よりハーモニカの音色が響き渡り、不審に思った運転手が扉を開くと、その中から一人の男が現れる。驚く運転手を尻目に、彼は『世話になった』と言いながらその場を去った。冷凍庫から人間が現れては普通に驚くし、何事もなかったかのように歩いたら余計に驚いてしまう。
 ウルトラマンは寒さに弱い一族だけど、宇宙の過酷な環境で戦っている彼らからすれば零下20℃などそよ風に等しいのかもしれない。大先輩であるウルトラセブンは零下140℃にまで追い込まれたことで、ようやく窮地に陥ったくらいだし。その跳躍力もとてつもない。

 ナオミ達SSPの前に現れるのは、ナオミの叔父である一徹。そして例の男がナオミ達に『悪魔の風が吹く』と意味深な忠告をした瞬間、空に暗雲が立ち込めていた。SSPのメンバーは喜々して竜巻を撮影しようとして、一徹がそれを止めようとするも彼の顔に新聞紙が直撃!
 SSPは竜巻の中で車を走らせる中、いつの間にか車の上に潜んでいたあの男がルームミラー越しに顔を出してきた! 竜巻の中でも決して動じず、冷静にマガバッサーのことを解説していたその度胸はやはり半端ない。
 そして竜巻の中に現れるのは、マガバッサーと謎の巨人。両者が取っ組み合っている中、SSPを乗せた車が万有引力の法則に従って落下するけど……救いの手が差し伸べられて、ナオミ達は無事に帰還。撮影した動画をアップロードしようとしたけど、運悪く自撮りになっていた。
 確かに大パニックの状況下では落ち着いて撮影するなどほぼ不可能に近い。むしろ生還できただけでも奇跡というべき。

悪魔の風・マガバッサーと怪しげな青年

 マガバッサーは古い時代にも暴れていて、その様子が古文書にも残されている。それによるとマガバッサーの風は日本だけでなく、世界各地で同時に竜巻を発生させるほどに凄まじい威力を持っている。シンが語ったバタフライ効果とは、一つの出来事が後に大きな原因の原因になることを意味している。
 再度、SSPはマガバッサーを探しに街に出て、そしてキャップであるはずのナオミをおつかいに出している。キャップと呼ばれているけど、実はあまり人望がないのかな。そこが親しみやすさを感じさせるけど。そんなナオミとぶつかったのは黒ずくめの衣装を纏った怪しげな男。意味深なことを呟きながら、その場を去っていった……
 そしてマガバッサーの脅威によって再び街は危機に陥って、ナオミは天高く吹き飛ばされてしまう。そんな彼女の元に現れたのは……鳥か? 飛行機か? いや、あの風来坊だ! ナオミは何が何だかわからないまま、男はまるでスーパーマンのように空を跳んで、そして着地した。彼の後ろでは、無残にもビルが落下した。
 ここまで来ると、この風来坊は自分の正体とかをあまり隠す気がなさそうにも思えてしまう。

男は変身する……ウルトラマンオーブへと

 現れるマガバッサーに立ち向かう為、風来坊はナオミを通りかかった一徹に預けて、証明写真のボックスに突入して、あろうことかそこで変身した。調べた所、スーパーマンにも似たようなシーンがあるみたいなので、それを意識したのかな?
 そして彼はウルトラマンとウルトラマンティガの力を借りて、ウルトラマンオーブ スぺシウムゼぺリオンに変身した! ゼロやエックスに続いて、過去のウルトラヒーローの力を借りて変身しているけど、ウルトラマンとティガが選ばれたのはそれぞれ50周年と20周年だからかな。
 ナオミの瞳にはオーブの戦いが映し出されていた。まるでゼットンとウルトラマンの戦いを見守っていた時のように。後の展開を踏まえて考えると、この頃から既にこの二人の関係について意識されていたんだね。

 証明写真の出来上がりがあと一分と告げられた瞬間、ウルトラマンオーブのカラータイマーが点滅して、オーブだけでなくウルトラマンとティガも苦しんでいる。こういう所で、オーブだけでなく力を借りた二人の人格も意識されているみたいで面白い。
 そしてオーブは腕を十字に組んで、スペリオン光線をマガバッサーに向けて放った! 空の彼方に飛び立ち、オーブは元の青年の姿に戻り、ウルトラマンメビウスのウルトラフュージョンカードを手に入れた。この年はウルトラマンメビウスが放送してから10年が経ったから、彼が真っ先に登場したのかな。
 一方で、彼が変身する過程が映し出された証明写真も出来上がる。確かにこの写真が見られたら、流石に危険だったかもしれない……

再会を信じて、男は去る

 SSPのメンバーと再会して、男はその無事を喜んでいる。そして再び巡り会えることを信じて、オーブニカの音色を奏でながら夕陽へと去っていった。
 そして誰もいなくなった暗闇の中、もう一人の黒づくめの男もマガバッサーのフュージョンカードを手に取りながら、意味深なことをささやきながら笑う。まるでオーブが人類にとって、脅威となることを知っているかのように……

 見直してみると、新しい発見が結構あった。ナオミとナターシャの繋がりが意識されていたり、またガイとジャグラーは作中だとまだ名乗っていなかった点とか。

 ウルトラマンオーブのOPであるオーブの祈りは、あの水木一郎氏がボイジャーと共に熱唱しているからか、シリーズでもトップクラスに力強くある。その為、希望に溢れた歌詞にも説得力が出る。
 ブルーレイボックス第一巻に収録されているSPECIAL NOTESによると、前作の『X』が王道を目指したのとは対照的に、今作は従来の殻を破るべく、様々な挑戦が試みられた模様。事実、今作は2クールの中でバラエティ豊富な話が濃厚に詰まっていた。
 主人公のクレナイ・ガイや宿敵ジャグラス・ジャグラーは勿論のこと、ヒロインの夢野ナオミが率いるSSPのメンバーの早見ジェッタと松戸シンも実に個性的。彼らを見守るビートル隊の渋川一徹も、ひょうきんながらもどこか頼れる大人だったので、とても見ていて楽しめる一作だった。

 ちなみに田口監督曰く、オーブとは人魂を意味する心霊用語のようで、カラータイマーが点滅した後の演出はイタコさんに憑依していた心霊がはみ出すイメージから思いついたらしい。こういった所も作り手がこだわっているからこそ、クオリティの高い作品に仕上がったのだと実感する。


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