ヒーローは謎を秘めた怪獣に立ち向かう ウルトラマンジード 第20話 感想「午前10時の怪鳥」

 放送日 2017年 11月18日

 脚本 三浦 有為子

 監督 冨田 卓

怪獣という脅威への慣れ

 ウルトラマンジードはギエロン星獣を相手に果敢に立ち向かうけれど、強固な肉体を前にプリミティブでは押されてしまう。しかしロイヤルメガマスターにフュージョンライズを果たしたジードが相手となっては、ギエロン星獣も歯が立たない。
 見事にジードは勝利を納めて星雲荘に帰宅するけど、リクは疲弊しきった様子でベッドに横たわる。ライハとペガはリクを迎えてくれるけど、当のリクはただニュースを聞いているだけ。
 今回の話はぼやけたような映像や、戦いの合間に入る井戸端会議の様子が、地球人が怪獣に対して慣れてしまっていることが的確に描写されていた。悲惨な災害や凶悪事件も最初こそは人々の脅威になり得るけど、繰り返されてメディアで報道されるとそこまで心が動かなくなるだろうし。

驚異の裏の平和な日常

 ギエロン星獣は何日にも渡って街に出現していて、その度にジードも様々な姿を駆使して戦っている。初めはアクロスマッシャーでギエロン星獣を落ち着かせて、きちんと見逃してくれたことに彼なりの優しさを感じた。しかし次の日にもまた現れたので、ジードはソリッドバーニングで撃破する……まあ、仕方がないよね。
 そんなジードのことをルミナ達は信頼しているけど、毎日のように同じ戦いが繰り広げられては、流石にうんざりしてしまう。悲しいけれど、同じことが続くとありがたみも感じなくなるんだよね……自分に被害が及ばない限りは、怪獣災害が日常の一ページになってしまいそう。
 AIBはギエロン星獣の細胞を回収して検査しようとするけど、瞬時に消滅してしまう。モアは慌てふためくけど、その裏では何も知らないルミナ達の日常が繰り広げられている。でも歴代のウルトラシリーズでも、防衛隊やウルトラマンが奮闘している一方では市民は何気ない日常を過ごしていたかもしれないから、こういう視点で描いてくれたのはとても新鮮。

繰り返される脅威に対して

 ゼロはゼロビヨンドになってギエロン星獣に立ち向かい、そしてバルキーコーラスで見事に撃破した。かつて父親であるセブンもギエロン星獣と戦って、そして50年の時を越えて息子とも戦うことになるとは。もしもリクやゼロが超兵器R1の悲しい事件を知ったら、地球人に対してどんな感情を抱くのかちょっと気になってしまう。
 倒したギエロン星獣の肉片をリク達は回収するけど、午前10時を過ぎた途端にまたしても復活した! それにしても、ギエロン星獣の体液や肉片が街の至る所に飛び散っている絵は少し不気味だった。今日の画質自体、いつもと比べてちょっと雰囲気が違ったのが怖さを引き立てている。
 どうやらギエロン星獣の欠片が気化していて、粒子レベルで逃亡するのではAIBも対処の仕様がない。そして物語は冒頭に戻るけど、世間はジードに対して叱咤の意見を飛ばしていることをリクは知ってしまい、衝動的にTVを消してしまう。確かに同じ敵が何度も現れては、リクがうんざりする気持ちもわかる。現実でも災害や事件に立ち向かう人達も、こんな感情を抱いてたりするかな……

 衝動的に外を出たリクはモアと出会い、ギエロン星獣の生体反応を求めてルミナ達の井戸端会議に出くわした。モアはルミナに自己紹介をしたけど、考えてみたけどモアはルミナとは初対面だったね。流石にレイトの日常にまで踏み込む機会はなかったし。
 マユはそろそろ小学生になるので鍵をかける練習をした直後、ギエロン星獣の生体反応が消える。そしてマユはグロテスクな液体が入った容器を持ってきたけど、それは元はギエロン星獣の肉片だった。凍らせて元に戻らない理由は、ジャガイモを凍らせてもスカスカになるのと同じだかららしい。主婦の豆知識が打開するきっかけになる展開は、普通のサラリーマンであるレイトがいるからこそできるよね。
 ギエロン星獣を凍らせる為の方法を考えている所にレイトが登場し、そのアイディアを実行することに。一方でこの事件の首謀者であるケイはレキューム人と接触して、ダークルギエルカプセルの存在を知った。その場面をアリエは物陰で眺めていたけど、非日常を前にしては目を輝かせるのは作家の性か。確かに目の前で本物の宇宙人が出てきたりしたら、好奇心が沸くのも無理はない。

 

支え合うウルトラマンと地球人

 時間は午前10時を過ぎて、現れたギエロン星獣を前にリクはウルトラマンジード プリミティブにフュージョンライズをして戦いを挑む。その巨体に押されながらもロイヤルメガマスターに変わり、そこに現れたゼロビヨンドが街一体に巨大なバリアを貼った!
 そしてウルトラセブンのウルトラカプセルを使って、スラッガースパークでギエロン星獣を撃破した! ギエロン星獣の肉片は街に飛び散るけど、TVの報道によって住民達が回収をしてくれることになった。AIBがメディアに根回しをしたのだろうけど、自発的に事件解決に取り組んでくれる姿勢は、地球は人類自らの手で守らないといけないというウルトラシリーズのテーマに沿った行動に思える。
 ウルトラマンは平和を脅かす怪獣や宇宙人と戦っているけど、地球の全ての平和を守ってくれるわけではない。最終的に地球人自らが自立するからこそ、ウルトラマンだって守ってくれるだろうし。ジードと地球人、互いが互いを支え合っているからこそ、地球の平和が守られている素敵な話だった。今まではリクと星雲荘の絆が描かれていたけど、今回はリクの世界が更に大きく広げてくれた雰囲気だった。

 ウルトラセブン本編ではギエロン星獣はとても悲劇的な怪獣だったけど、今回はケイの先兵としてあえて扱った。確かに当時と今とでは時代も違うし、また防衛隊がいないジードの世界では他所の惑星を破壊するような兵器は作れないだろうから、ギエロン星獣の悲劇性はあえて描かなかったのは賢明な判断かも。


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